住宅 マンション 民間建築 公共事業
日常の建築用語  
普段何気なく使っている言葉の中には、
建築に関係している言葉が数多くあります。ご存じですか?
伽藍堂 がらんどう
伽藍堂 引っ越しした後、がらんどうになった部屋を見たことがある人も多いと思います。このがらんは「伽藍」、どうは「堂」と漢字で書きます。「伽藍」とは寺院を構成する建物の内、本尊を安置する金堂、仏舎利をまつる塔、仏法を講ずる講堂、回廊などの配置を伽藍配置と呼んでいます。また礎石のことも伽藍と呼んでいます。大きくて広く立派な建物のこと「堂」とつける習慣があったことから、伽藍堂とは広い寺院を意味するようになりました。ガランとした、という形容もここからきています。
羽目をはずす
羽目をはずす お酒の席などで興に乗じて度を過ぎる「羽目をはずす」の羽目は建物の壁板のことで、羽目板貼りなど壁板の貼り方として今でも古い家屋で見かけます。日本版のサイディングと言った方が分かりやすいかもしれません。この羽目板がはずれたり壊れると建物の中に雨が入り込み、木が腐り建物が悪くなってしまいます。また見かけも悪くなります。そうして格好悪い有り様を羽目をはずすと言うようになったと言われています。また、罠にはめられた、なども羽目から。羽目板はなかなか抜けないようになっているためだと思われます。
本音と建て前
本音と建て前 「本音と建て前」と使われる「建て前」の元々に意味は柱や棟、梁などを組み立てることでした。家の骨格が仕上がった段階で上棟式が行われるため、建て前=上棟式となりました。「建て前」はいわば家の骨組みを組み立てることだと言えます。人の本当の意見や気持ちと人格の骨格となっている考え方や感じ方は一致するはずですが、 それが違っていると「本音と建て前が違う」つまり言動が一致しないことになりま す。日本人の「本音」と「建て前」の違いは外国人に説明するのに苦労するらしく、 日本人特有の文化と言えます。ちなみに建前の投げる餅を焼いて食べると家が火事に なると言われ、嫌われているそうです。
ひのき舞台
檜舞台 「世界の檜舞台で活躍する」など英語のステージと同じような使われ方をします。檜舞台は能の舞台のことで、歌舞伎役者が憧れる能舞台を踏む気持ちを表現したものだと言われています。「千両役者に檜舞台」などと言われていました。それが転じて、次のステップへ飛躍することを意味するようになりました。もちろん、今でも「バレイダンサーがパリの檜舞台に立つ」など舞台の意味も残っています。
こけら落とし
こけら 「こけら」とは材木を削った時や木を切った時にできる細かい木くずや小片のこと。元々は細いまたは薄い木のことを意味していたと思われます。こけら葺きとは、短冊形をした木を薄くそいだ杉やヒノキの板(こけら)を重ね合わせて葺く屋根のことです。昔の芝居小屋はこのこけら葺きでした。昔は建築中に出る細かい木くずや小片 (こけら)を払い落として、完成とする習わしがありました。劇場を新築した時の披 露興業を意味するようになりました。
几帳面 きちょうめん
几帳面 物事を正確に行い、いい加減にしなことを「几帳面」と言いますが、実はこれも建築用語。床の間などにつくられた違い棚の小柱の角や、室内の仕切りに使う衝立の柱に施される面取りの細工を差す言葉です。このような細かい装飾は、職人がきちんと正確に作業をしなければ、美しく仕上がりません。これが転じて、物事をきちんと行うまじめな人を、几帳面な人と言うようになった、と言われています。
しのぎを削る
しのぎを削る 「しのぎ」はもともと両側から同じ角度で同じ長さを削った刀の背の部分を表す言葉で、両雄が激しく互角に戦っている様を例えて「しのぎを削る」と言います。建築の世界では、棟木を屋根の勾配に合わせて山型に削る大工言葉となっています。しのぎ状に削る時、片方を削りすぎると反対側も削って調整しなければなりません。これが転じて互角に戦う意味が生まれたと考えられます。
うだつ
うだつ 常に頭を押さえられていて出世ができないとか、いつまでも低い地位にぐずぐずしている様を言います。由来は二つ。うだつは、「うだち」が転じた言い方で、梁の上にある束柱を差します。大工言葉で「棟上げする」ことを「うだちをあげる」と言うように、常に屋根に頭を押さえられているから。もうひとつの説は、「卯建」です。江戸時代に町家の妻壁に張り出した袖壁を「卯建」と呼んでいました。延焼を防ぐための防火壁なのですが、裕福な家ほど高く厚い立派な「卯建」をつくることができたからです。
とばり
とばり 夜のとばりがおりる、と使われる「とばり」とは何でしょうか。辞典で調べてみると、帳、または帷という漢字か当てられ「室内に垂れ下げて、室内を隔てるに用いられる布」「寒さを防ぐために寝台の上に張巡らされた布」とあります。平安時代の貴族の住まいは、床は板張りで寝起きするところだけに畳が敷かれていました。屏風や衝立が仕切の替わりでした。夜になるとこの帳を垂れ下げたことから「夜のとばりがおりる」、または帳を下ろす様子を日没に例えたのかも知れません。ちなみに最近、見かけなくなった蚊帳(かや)という漢字にも帳がという字が使われています。
お勝手
お勝手 お勝手と言えば台所のことですが、この他にも「勝手が違う」「身勝手」など色々な意味あいと使い勝手のある言葉です。勝手は古くは右手を表す言葉でした。江戸時代の会計を扱う部署を勝手方と呼んでいました。それが、「お金があれば何でもできる」というようなニュアンスとなり、勝手気まま、身勝手というような意味も表すようになったのかも知れません。一方、「台所イコールお金の動くところ」いう意味から、直接、台所を差すようになったと考えられます。このように勝手には、台所、会計、わがままという三つの意味があります。
床 とこ
とこ 床の間の発生は、室町時代の書院建築にはじまります。柱と柱の間に板を置き、花や香を飾ったところが発展して床の間になり、江戸時代に完成された茶室にはなくてはならないものとなりました。床は「ゆか」の意味と「とこ」の二つの意味があります。ゆかは台の意味合いがあります。一段高く構えた寝起きする所や土間に置く台、涼み台などの意味があり、床屋は店先の小さい台で仕事をしていたから「床屋」と呼ばれるようになったようです。ある物事に好奇心を抱き心惹かれ、自分が接したいと思う気持ちを「ゆかしい」と言うようです。
縁 えん
縁 縁は「えん」「ゆかり」「ふち」と読むことができ、関わり合うという意味があります。「縁は異なもの味なもの」と言いますよね。建築で言う縁は「縁の下の力持ち」という言葉通り、建物の外と内の接点にあるものを差しています。縁框は玄関を入って腰掛けることのできる堅く太い木のこと。銘木を使う例もあります。このように人と出会い、話しをする場所に「縁」がつけられています。座り込んで話せる縁側や縁框のる家は少なくなりましたが、人の「縁」は大切にしたいものです。
大黒柱 だいこくばしら
大黒柱 古い民家には必ずと言っていいほど、大黒柱があります。特に大きい材が使われ、ほぼ家の中央にあります。建初柱とも呼ばれ、家を建てる時、最初にたてられます。このどっしりとした大黒柱を家の主人や会社、国を支える人に例えるのは当然かも知れませんね。ところで、大黒と言えば七福神の一人、大きな袋と小槌を持ち、米俵に乗った大黒天ですよね。もともとはそして仏教の守護神、戦いの神様だったようです。地方によっては、えびす様と共に台所に祭られます。大黒柱には、守る、稼ぐという意味が込められています。
束 つか
束 束にはもともと、わずか、ちょっとという意味があります。束の間とは「わずかな時間」という意味。その他書物の厚み、何かをまとめることに関係することに使われています。「束ねる」はここからきています。今では使われなくなりましたが、束緒(つかねお)とは縛るだめの紐のことです。建築で使われる「束」は、短い垂直の材、一般に束柱を差しています。高さのない短い柱で土台になります。最近では、シロアリの心配のないプラスチック製の「プラ束」が開発されています。束石は束柱を受ける礎石のことで、現在はコンクリートのブロックになっています。古い建築の遺跡などで立派な石の束石を見ることができます。
天井 てんじょう
天井 民家に天井が設けられるようになったのは、室町時代の書院造りが一般化した13世紀。もともと天井(てんせい)とは、建物の内部の梁が井桁に組まれた姿を指すそうです。天井(てんじょう)とは、寺院の内陣の仏様の上にある天蓋のように、貴人の居るべき場所の上に釣り下げられたり、高御座のように柱で支えられたものを言うそうです。昭和以前の和風の建物には、座敷以外の部屋には天井が張ってありません。天井は贅沢だったんですね。 天井桟敷と言えば、一段高くなった見物席。日本の祭りや相撲、芝居では特等席ですが、西欧ではホールの最上部にあり舞台か遠く見ずらいので安い席となっています。証券取引所で、青天井と言えば株価のチャート上の高値を抜いて、上値のメドがつかない状態を言います。